Impression of First Project in Mexico by Noriko
2018年4月19日ー5月2日メキシコのモンテレイとメキシコ・シティとの2都市にて滞在制作が行われた。
テーマはアノニマス・ボディ。
イヴァン・オンティヴェロスと加藤範子が出会ったのは8年前。
8年という時間の中で様々な体験をそれぞれに過ごし、その空間をあらためて組み上げていく作業は、不思議とそのままテーマでもあるアノニマス・ボディへと繋がっていく。
アノニマスであることとは、
またその身体とはどういうものなのか
ブレインストーミングをしつつ、そのレイヤーを手繰り寄せていく。
アノニマスであるというのは、様々なレイヤーを含み意識や視点を向けたり変えたりすることでみえてくるような、浮かび上がる存在そのものは曖昧でありながら、同時に個としての存在の強度を同時に感じるような、そのような場面が何度も現れては、消えていく。
第一回目というのもあり、それぞれの輪郭を浮かび上がらせるところまでで時間切れとなってしまったが、公演後のアーティスト・トークではタイトルそのものが観客を触発し、自分にとってアノニマス・ボディとはなんであるかを考えるきっかけとなった、という感想が返ってきただけでなく、作品そのものが人を揺さぶり、その揺さぶりを受けてさらに作品が進化する、という相互作用を生み出していく感触があった。
そのことからも、この制作は場所を移動しその地域でのリサーチを深めて行くことで発展していくものがあると確信する。
また制作期間中、5to. Festival Internacional Universitario de las Artes Escénicas Uanl 2018にてイヴァンと共にワークショップを行う。南アメリカ全土から集まったアートを専門とする学生を対象にしたクラスを通して(…というよりも学生の身体を通してといった方がいいかもしれないが…)学生たちの素晴らしい瞬間に出会うことができた。
身体は歴史であると私(加藤)は思考する。
そしていかに人はその身体に制限をかけているのか、というのも実感する。ワークショップの中では身体機能におけるその制限を知覚し手放す作業を重ねていく。すると未知である自分を呼び覚ます瞬間が引き起こされる。
それはいつもそこに在り、共に在る、だが気づかなければ存在することすらなかったかもしれない、自分自身。
アノニマス・ボディ
己に存在する、まだ見ぬ自分を炙り出し
ひとりの人間の存在と尊厳を様々な角度から探求する
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